たかがレリーズ、されどレリーズ!

三脚使用時に必須のアクセサリーの代表格であるレリーズ。
フィルムカメラ全盛時代は、金属のワイヤーで物理的にシャッターボタンを押す「ケーブルレリーズ」やブロアーのようなゴム球でゴムホースの先端にあるピストンにエアーを送りシャッターボタンを押す「エアレリーズ」が主流でした。

しかし、カメラの電子制御化が進むにつれ、レリーズは機械式から電子式に進化し、その呼称も「リモートスイッチ」「リモートコード」「リモートコマンダー」と変わってきました。

「ケーブルレリーズ」時代は、カメラのシャッターボタン側のレリーズ装着ネジの規格が統一されていて、レリーズには「純正」という概念が無く写真用品各社が様々な工夫を凝らした商品をリリースしていました。
が、電気接点化してからのレリーズの端子は各メーカー、同じメーカーでも機種により端子の形状が違い、「レリーズは純正・専用」というイメージが定着しました。

しかし実は、あまり知られていませんが、様々なコンセプトのレリーズがアクセサリーメーカー各社から安価で供給されています。そこで今回は、キヤノンカメラの標準である「 RS-N3」タイプを例に個性的なリモートスイッチをご紹介させて頂きます。

著者 星野のカメラバック常備品より
④は2台撮影時に利き手ではない方の親指シャッターに最適。
背景は「レインカバー : マルチカムアルペン

著者の冬季装備
②は手袋をしていてもスイッチが押しやすい。⑤は送信機を握ったままポケット内でスイッチが押せる。

①、Canon リモートスイッチ RS-80N3  http://cweb.canon.jp/camera/eos/accessary/detail/2476a001.html

純正だけあってカメラのシャッターボタンとほぼ同じストロークで操作可能なリモートスイッチ。社外品にはボディ側の端子にロックが無いので意図せず緩んだり外れたりすることもありますが、「RS-80N3」ならその心配も無く安心。本体・端子部・ケーブルのいずれもしっかりとした素材が使用されており、無理な使い方をしなければケーブルの断線もありません。定価5,500円と非常に高価ではありますが、その価値は十分あると思います。著者は紛失防止と、落とした時に目立つように(探しやすいように)上部の桜バックの写真のようにオレンジのバンドを巻いています。

②、Kenko リモートコード リモート90L キヤノン用 RS-N3対応タイプ
http://www.kenko-tokina.co.jp/imaging/eq/eq-digital/other_accessory/4961607809815.html

広く量販店やネットショップ等で販売されている写真用品大手のケンコーブランドのリモートスイッチ。実売価格は1,500円ほどで、純正品の約1/3程度と魅力的な価格です。リモコン本体は純正品より大きくシャッターボタンもかなり大きいので、手袋をしたままでも操作し易いのが本品の最大の美点だと思います。リモートスイッチとしての基本機能は純正品と何ら変わらず、もちろん半押しやバルブ用のロックもあります。唯一気になる点は、シャッター半押し時のストロークが純正より深く、純正との併用が難しい点です。これは汎用品である以上、仕方ないことですので、欠点ではありませんが、半押し状態が長い撮影をする方はちょっと気になるかもしてません。
本品の最大の美点は価格の安さ。純正品に比較するとケーブル端部の養生にコストダウンが見られハードな使用を繰り返すと純正より早く断線するリスクがありますが、きちんと使用すれば問題ないレベルで、安かろう悪かろうの商品ではありません。
レリーズはロケ先でレンズキャップに次いで無くしやすいアクセサリー。純正の約1/3の価格であれば気分的にも楽ですし、約1/3の価格だから同じ投資で3本買える!というメリットを活かして複数のカメラバックに入れておけば「持ってくるのを忘れた、、、」というケアレスミスも防げますし、1つのバックに2本忍ばせておけば、「夜間ロケ中に紛失して撮影中断、、、」という事体も避けられます。

③、ロワジャパンCanon キヤノン RS-80N3対応 ミニ シャッターリモコンレリーズ https://www.rowa.co.jp/cabinet/form.cgi?no=5979

とにかくコンパクト。ケーブルも細く本体もとにかく小さいのが本品の最大の美点。
純正は様々なシーンを想定ししっかり作られていますが、その分、ケーブルが太く柔軟性に欠け、持ち運び時には特に不便ですが本品は拍子抜けするほどコンパクトに収納可能。もちろんその分、ケーブルの付け根の断線リスクはかなり高いですが、理解して使えばコスパの高いケーブルの筆頭だと思います。
Amazonなど入手先は限られますが、純正の予備としてカメラバックの奥底に忍ばせておくには最適。もちろん半押しも出来ますし、レリーズとしての機能はなんら遜色ありません。

※参考写真画像はありません※

④、UN(ユーエヌ) UNX-4888 [リモートスイッチ キヤノン 80N3タイプ]
http://www.un-ltd.co.jp/products/camera/e_release/index.html

フィルム時代のケーブルレリーズは、チューブに密閉された金属ワイヤーを押す構造だった為、縦位置で親指で押す形でした。レリーズがスイッチ化されてからは、ボタンを押す形になり、リモコンのように横位置で押す形が主流になりました。
本商品は、古くからユニークな写真用品を自社国内生産に拘り作り続けて来たUNらしい「古くて新しい」リモートスイッチ。「レリーズは親指縦位置!」という人には純正には無い唯一無二なリモートスイッチです。
その構造からロック機構は無いのでバルブ撮影には向いていませんが、置きピンで露出もマニュアル、という半押しよりも一気押しシャッター派には嬉しいアクセサリーです。(もちろん半押しも出来ます。)
コードが短い点も本品の美点です。純正を始めとして、現代のリモートスイッチはちょっとケーブルが長すぎると感じる著者も2016年の販売開始時から愛用しています。

⑤、SMDV(エスエムディーブイ) RFN-4-911 [ワイヤレスシャッターレリーズセット]
http://www.kenko-pi.co.jp/brands/smdv/smdvrfn-4rfn-4s.html

ワイヤレスシャッターレリーズ「SMDV RFN-4-911」は 、電波式のリモコンレリーズです。
Canon純正の「ワイヤレスコントローラーLC-5」は赤外線での通信なので送信機と受信機との角度に制限があり、また、屋外で使用するには大きすぎて不便ですが、「SMDV RFN-4-911」は非常にコンパクトで機材の質量を少しでも減らしたいロケに最適。レシーバー(受信機・カメラ側)に各社カメラに対応した交換用ケーブルを装着して使用するタイプなので、安価な専用交換ケーブルをカメラ毎に用意すればこれ1台で異なるメーカーのレリーズを持っていく必要が無く便利です。

また、レシーバー本体にもレリーズボタンがあり、ワイヤードリモコン(ケーブルレリーズ)としても使用可能な優れものです。レシーバーをカメラのホットシューかストラップに付け、送信機をポケットに入れてしまえば、ちょっとした移動時にケーブルが邪魔にならず快適です。ワイヤードでもワイヤレスでも使えるシャッターレリーズは一度使ったらもう普通のケーブルスイッチには戻れません。シャッターボタンのストロークも純正に近く、カメラのシャッターボタンとと違和感無くシャッター半押しが出来るのも本商品の美点です。

⑥、Velbon TWIN 1  R4U (ご注意:写真⑥の受信機は旧製品[TWIN1 R3]用です)

■「送信機+受信機+ケーブル」のセット 【TWIN 1  R4U 
http://www.velbon.com/jp/catalog/accessory/twin1r4u.html

■「送信機+ケーブル」のセット 【TWIN1 R3-UT】
https://www.velbon.com/jp/catalog/accessory/twin1r3ut.html

赤外線ワイヤレスリモコンですが、付属のケーブルを送信機に繋げばワイヤードリモコンとして使用可能なレリーズです。赤外線通信なので送信機と受信機の向きを合わせる必要がありますが、カメラ本体に赤外線通信機能があれば受信機が無くても送信機「TWIN1 R3-UT」 だけで赤外線リモコンシャッターが可能です。

ワイヤレスで使用時は電池が必要ですが、ワイヤードで使用する場合はリモコン本体の電池が無くても操作可能です。「TWIN1 R3-UT」は、実売価格が3000円を切るコスパの高いワイヤード&ワイヤレスリモコンです。

尚、送信機に使用する電池は「LRV08」で、送信機として電池は約5000回使用可能とのことですが、大型電気店でないと入手が難しいので予備電池の用意をオススメします。


ご注意:
※上記レリーズの紹介URLや商品名は「キヤノンRS-N3対応タイプ」を基準に記載しています。他メーカーのカメラではそれぞれのカメラに対応した型番を購入してください。また、同じキヤノンでも機種により端子が違いますのでご注意ください。

※本記事は著者が実際に購入し使用した個人的見解を元に記載しております。本記事をご覧になられて購入、使用や撮影に支障が生じても当方は一切の責任を負いませんので予めご了承下さい。


 

2018年4月 著者:星野 俊光